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女の子に絶大な人気を誇る、米マテル社の人形シリーズ「バービー」。

そのバービーが『私でもコンピューターエンジニアになれる(Barbie I Can Be A Computer Engineer)』という絵本に登場。しかしバービーのあまりの無能さ、さらに女性差別に繋がる表現があるとしてクレームが殺到。マテル社が謝罪する騒動となりました。


『バービー:私でもコンピューターエンジニアになれる』(5ページ)
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ある朝、バービーは熱心にノートパソコンで宿題をしています。妹のスキッパーが「バービー、何してるの?」と尋ねると、バービーはこう答えました。

「学校のみんなにコンピューターがどういう仕組みで動くのか理解してもらいたくて。色のついたブロックを組み合わせることで、ロボットの子犬が可愛い芸を見せてくれる。そんなゲームを作ってるのよ」

「とっても可愛らしいロボット犬だこと!プレイさせて!」とスキッパー。

バービーは笑いながらこう返します。

「私はデザインのアイディアだけよ。ちゃんとしたゲームにするには、スティーブンとブライアンに手伝って貰わないと!」

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バービーは自分の描いたデザインをスティーブンにメールしたのですが、突然!パソコンの画面が点滅し始めました。

「おかしいわね」とバービー。スキッパーも加わり、パソコンの再起動を試みましたが、何も起こりません。

「お姉ちゃんのパソコン、ウィルスにかかったんじゃない?」

「大丈夫。バックアップするのを忘れないよう、私USBメモリはネックレスにしてるんだ。スキッパー、ちょっとだけパソコンかしてくれない?」バービーは部屋に戻ろうとする妹にお願いします。

「私も宿題終わらせないといけないし。いま自分が一番尊敬する人のことを作文にしなくちゃいけないんだ」と渋りますが、「すぐ終わるから」とバービー。

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バービーがスキッパーのパソコンにUSBメモリをいれると、またもや画面が点滅し始めたではありませんか!

「嘘!USBメモリにウィルスがいたんだわ!!」

「私、宿題のバックアップとってないのに!音楽ファイルも全て消えたわ!」とスキッパーは涙目ながら訴えます。

「ごめんね、スキッパー。今から学校に行って、パソコンを直す方法を見つけてくるから!約束ね」

「そうして」。スキッパーは冗談げに枕をバービーに押し当てました。

学校へ行ったバービー。
先生にパソコンの直し方を教えてもらい、図書館へと向かいました。
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放課後、バービーはスティーブンとブライアンに会います。

「こんにちは。私のデザインを送ろうと思ったんだけど、パソコンが壊れてしまったみたいで。スキッパーのパソコンもなのよ!だから修理と、消えたデータの復旧をしなくちゃいけないの」

「だったら俺とブライアンが手伝った方が早いよね」とスティーブンが提案。

「ありがとう!スティーブン、図書館のパソコンにスキッパーのハードドライブを接続してくれないかしら?」

「もちろん!図書館のパソコンには高性能なセキュリティソフトウェアが入ってるからね!」

見事にパソコンが復旧します。
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翌朝、バービーは妹を驚かせます。

スキッパーがパソコンを起動させると、なんと電源がついたのです!「私の宿題のファイルだわ!」大声で喜ぶスキッパー。「すごいクールだわ。バービー!あなたは私のパソコンを直してくれたし、宿題も救ってくれたの!!」

スキッパーはバービーにハグしました。

そして学校では、スキッパーが宿題を発表しています。

「私が一番尊敬する人は、バービーです。素晴らしい姉でありながら、最高のコンピューターエンジニアなのです!」スキッパーの発表は大成功でした。

一方、コンピューターの授業を受けるバービーは、自分がデザインしたゲームを発表。スミス先生はいたくこれを気に入り、特別に金賞を与えます。バービーの持つ素晴らしいコンピューターの才能が、この日、姉妹を救ったのです!

バービーは笑顔で「私でもコンピューターエンジニアになれるかな」と口にしましたとさ。

本作は2010年発売の子供向け絵本なのですが、2013年頃からアマゾンで否定的なレビューが投稿され始めます。そして先週、アメリカ人作家パメラ・リボンさんが性差別に繋がるとして公式ブログで批判

それが起爆剤となり、一気に問題視されることになったのです。

パメラさんの指摘する、本作の問題点
なぜバービーはゲーム制作に男性の手を借りる必要があるのか?自分たちの手で学びながら、やり遂げる感覚を味わった方が成長するのでは?

「自分とブライアンが手伝った方が早く終わる」と提案したスティーブン。これは男性のみがコンピューター分野では有用だ、という前提の上で成り立つ発言。

本作では、結局は男性がいないと何も問題解決できない描かれ方をしており女性差別に繋がる。


多くの批判を受け、マテル社は公式に謝罪。今後の動向にも注目が集まっています。